『恋と悪魔と黙示録 契約の獣と身代わりの花嫁』のレビュー

女子向け異世界(西洋風)恋愛ファンタジー。

主人公は教会に身を寄せ暮らす少女・レジナ。最愛の兄を悪魔に殺された過去を持っています。

物語は彼女がなぜなのか偶然にも一匹の魔物らしき獣を召喚してしまったことから始り、聖なる儀式の主役である神の花嫁役の代理任命、尊敬する師に掛けられた悪魔崇拝の嫌疑、見え隠れする悪魔の存在ーー事態がどんどん深刻化していきます。

神と悪魔が存在する世界で、事件に巻き込まれながら主人公が強く悟るのは人間の罪深さ、でしょうか。教会の暗部を描いているのでスリリングで楽しいだけのストーリーには仕上がっておらず、乙女向け小説ながらこの作者さんらしくドロドロした部分も絡ませた上で美しいものを浮かび上がらせる作風になっています。

とか書くとシリアスタッチな小難しい話なのかと思われそうですがこの作品のテーマはずばり「恋」なのだとか。

人と関わらずに悪魔を憎む気持ちだけを見つめて生きて来た女の子が、側にあるぬくもりや人々との交流を望む様になっていき「恋」をしてみたいと思うまでに至る、健気な様子が描かれています。レジナ、真面目で可愛いです。ぐっときます!

そして美形さんもいっぱい(さすが乙女小説!)。どの人もちょっとした可愛らしさが見え隠れする素敵に個性的なキャラ。今後の動向が楽しみです。アガルの乙女っぷりにはもうヒロインの座を贈呈したいくらい…。

個人的にはこの作者さんのもう一方のシリーズよりもこちらの方が好みかな。読みやすい、と思いました。凝った世界設定ですがこちらの方がすんなり理解しやすいですね。