甘酸っぱい思い出がよみがえる「ボタンちゃん」

「ボタンちゃん」という絵本を買いました。作者が「博士の愛した数式」を書いた「小川洋子さん」だったという事で、「この人の書く童話ってどんな話だろうか」という興味と、表紙のかわいくてふわふわとした感じの、「女の子のブラウスの襟元のボタン」の絵にひかれての衝動買いでした。

 家に帰ってゆっくりとページをめくりました。お話は、ボタンちゃんの糸が外れて、仲良しだった「ボタンホールちゃん」と別れてしまい、おもちゃ箱の隅へと転がっていく話です。

 そこで出会うたくさんの、主人公の女の子が昔使っていて、今は大きくなったので忘れられてしまった物たちーガラガラやよだれかけやぬいぐるみなどーと出会います。みんな自分が忘れられてしまったことを悲しんでいますが、ボタンちゃんに「主人公の女の子が大きく成長した」事を聞いて喜びます。そして最後にはボタンちゃんは元のボタンホールちゃんの元へ戻ります。そして、ボタンちゃんが出会ったたくさんの物たちは・・・。それは実際にこの絵本を読んで確かめてください。きっと読んだ後、自分のいらなくなって使わなくなり、どこかへしまって忘れていたものの事を思い出すでしょう。もしかしたら、物置の中の段ボール箱を思わず開けてみたくなるかもしれません。

 人は成長とともに、その時には大切だったはずのものを忘れたり、どこかにしまいこんでしまったり、放り出してしまったりするものです。しかし、大切だと思っていた気持ちは、そのものとまた出会う事で必ず心の中に戻ってくるのでしょう。そんな少し甘酸っぱいような気持ちが残る、温かいお話でした。