ラストが予想の斜め上を行く「そして扉が閉ざされた」

岡嶋二人さんの「そして扉が閉ざされた」という作品は、最後の最後まで一気に読み進めることが出来るくらいスリリングでとっても面白いです。

大切な一人娘が不審な事故で死亡したため、その母が事故の真相を暴こうと娘の友達を四人地下シェルターに閉じ込めます。本当のことを離さない限り、シェルターからは出さないというわけです。この作品は地下シェルターだけで話が展開し、登場人物もその四人だけなので、いわば話自体はすごく分かりやすくシンプルです。何しろ画面がまったく変わらないのですから。

にもかかわらず最後の最後までまったく真相が読めないのです。

岡嶋二人さんと言えば、趣向を凝らした予測のつかない推理小説を書くことで有名でしたが、この作品はまさにそんな著者の持ち味が活かされたストーリー展開になっています。あちこちに散りばめられた伏線、それは一見あからさまに見えるものの、注意深く読まなければ気づくことさえありません。そうして最後に真相が分かったとき、「まんまとしてやられた」と感じること間違いなしです。

そして私が岡嶋二人さんの著書の中でも特にこの作品が好きなのは、ラストまで読み終えた後のなんとも言えない読後感があるからです。もちろんこの不審な事故死をした娘が、ただの事故では話にならないので、その事故には隠された真相があるのです。そうなると殺人かはたまた自殺かなどいろいろ思い巡らせることになりますが、ことはそう簡単な話ではありません。というかそんな読みはいとも簡単に覆されてしまうのです。