『花神遊戯伝よろしく遊べ、この異世界』のレビュー

ネット小説を発表していた作者さんのオリジナルでの出版作品となります。

ずはり異世界トリップものです。ネット小説に馴染んでいる方なら星の数程にこの手の作品があることをご存知でしょう。大好物設定です。でも意外と書籍では見かけない気がするんですが、私が知らないだけ?

主人公は高校生の女の子。舞台の異世界は神話が息づく古代日本風と中華風をミックスしたような感じになってます。なので洋風モノが好き、という人には読みにくいかも。

突然放り出された異世界でとりあえず素敵な男性に拾われてーーと王道一直線ですが、この作者さんはキャラクターの作りが本当に細やか。

口が悪くてすぐ手が飛んできて、主人公をして「暴君さま」と渾名されるようなこの青年の、罵り台詞と見せかけながらも甘さが滲む台詞の数々。いいですよー!

主人公も単に明るく元気な女の子というだけではなく、異様な状況の中、人の醜さ、降り掛かる不条理のやるせなさ、暴力の恐ろしさ、自分の心に潜む卑怯さなど辛い事に一つ一つ向き合って、健気で真面目な心の動きを見せてくれます。

おどけたお性格に実はウルトラ健気な素直さがミックスされた、「もうこれ相手に惚れられるのは当然だよね、むしろ必然」という良い子です。読者をしてこれ程主人公を「なにもうこの子めっちゃ可愛い…!」と思わせる作品はそうはないと思いますよ。

展開もきっりち積んであって、矛盾や齟齬のないようよく練られてあると感じました。